働いていると「退職」や「解雇」という言葉を耳にすることがあります。
しかし、この二つは似ているようで全く意味が異なります。
労働者にとっては人生に大きな影響を与える出来事なので、正確に理解しておくことが大切です。
この記事では、解雇と退職の違いを整理し、法律上のルールや実務で注意すべきポイントを解説します。

解雇とは?
解雇とは、会社が一方的に労働契約を終了させることをいいます。
つまり、労働者の意思に関係なく雇用関係が打ち切られるものです。
解雇の種類
- 普通解雇
勤務態度の不良や能力不足など、会社が労働契約を継続できないと判断した場合。 - 懲戒解雇
横領・暴力・重大な規律違反など、企業秩序を乱す重大な非行に対して行われる最も重い処分。 - 整理解雇
会社の経営不振や事業縮小による人員整理のために行われる解雇。
解雇に必要なルール
- 30日前までに解雇予告、または30日分以上の平均賃金を支払う必要がある
- 「客観的に合理的な理由」がなければ無効とされる
- 解雇権の濫用は禁止されている
👉 つまり、会社が勝手に解雇することはできず、法的に厳しく制限されています。
退職とは?
退職とは、労働者の意思または労使の合意により雇用契約が終了することです。
労働者が自分の都合で辞める場合もあれば、定年や契約期間満了による退職もあります。
退職の種類
- 自己都合退職
労働者が自分の意思で辞めること。転職、家庭の事情、健康問題など理由はさまざま。 - 合意退職
会社と労働者の双方が話し合って合意し、契約を終了すること。退職勧奨もこの一種。 - 定年退職
就業規則に定められた年齢に達したことで雇用契約が終了するケース。 - 契約期間満了による退職
有期雇用契約で期間が満了したときに契約が終了する。
解雇と退職の大きな違い
項目 | 解雇 | 退職 |
---|---|---|
主体 | 会社 | 労働者(または労使合意) |
理由 | 能力不足・規律違反・経営不振など | 転職・家庭事情・定年など |
予告 | 原則30日前の予告必要 | 労働者は2週間前の申告で可能(民法上) |
性質 | 強制的 | 自発的 |
👉 このように、主体が「会社」か「労働者」かで大きく異なります。
実務で注意すべき点
- 退職届と解雇通知
退職は労働者が「退職届」を提出する形で意思表示することが多く、解雇は会社が「解雇通知書」を交付します。 - トラブルになりやすい場面
「退職勧奨」が実質的に解雇にあたる場合や、解雇理由が曖昧な場合は労働紛争につながります。 - 退職金への影響
懲戒解雇の場合、退職金が減額・不支給になることがあり、労働者にとって大きな不利益となります。
まとめ
- 解雇は会社が一方的に雇用契約を終了させること
- 退職は労働者の意思や合意による契約終了
- 解雇は厳しいルールと制限があり、安易に行うことはできない
- 退職は労働者に広い自由が認められている
👉 解雇と退職の違いを正しく理解することは、トラブルを避けるだけでなく、自分のキャリアを守るためにも重要です。
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