仕事中のケガや病気で働けなくなったとき、労働者の生活を支える仕組みのひとつが 休業補償 です。
「休業補償」と一口に言っても、労災保険によるものと健康保険によるものがあり、それぞれ仕組みや支給内容が異なります。
この記事では、休業補償の基本的な考え方と具体的な給付内容をわかりやすく解説します。

休業補償とは?
休業補償とは、労働者がケガや病気で働けなくなった場合に、収入の一部を補填する制度のことです。
主に次の2つに分けられます。
- 労災保険の休業補償給付
業務中や通勤途上でのケガや病気により働けなくなったときに支給。 - 健康保険の傷病手当金
私傷病(業務外の病気やケガ)で働けなくなったときに支給。
👉 どちらも「生活の安定」を目的としていますが、対象や内容が異なります。
労災保険による休業補償給付
労災保険で支給される休業補償給付は次の通りです。
- 支給開始日
業務上のケガ・病気で4日以上休業した場合に、4日目から支給開始。 - 支給額
休業1日につき給料の約80%(休業補償給付60%+特別支給金20%)。 - 特徴
療養中でも生活が困らないように、実質的に給料の8割程度が補償される。
健康保険による傷病手当金
業務外の病気やケガで働けなくなった場合は、健康保険から傷病手当金が支給されます。
- 支給開始日
連続して3日間休んだ後、4日目から支給。 - 支給額
給料の約3分の2(標準報酬日額の2/3)。 - 特徴
私傷病でも収入がゼロにならないようにサポート。
両者の違いを整理すると
- 対象
労災=業務上・通勤災害
健康保険=業務外の病気やケガ - 支給額
労災=給料の約8割
健康保険=給料の約3分の2 - 支給開始日
労災=4日目から
健康保険=4日目から(ただし最初の3日は待期期間)
実務での注意点
- 労災か私傷病かを正しく判断することが重要
- 両方から二重に受け取ることはできない
- 長期休業の場合は、会社の就業規則や休職制度とも関係してくる
まとめ
- 休業補償には「労災保険による休業補償給付」と「健康保険による傷病手当金」がある
- 労災=業務上や通勤災害、健康保険=業務外のケガや病気が対象
- 支給額は労災で約8割、健康保険で約3分の2
- 生活の安定を目的とした大切な制度であり、正しく理解して活用することが重要
👉 働けないときでも安心して生活できるように、休業補償の仕組みを押さえておきましょう。
コメント