「パートやアルバイトでも社会保険に入らなきゃいけないの?」
「週何時間働けば対象になるの?」
こうした疑問は多くの人が抱くものです。正社員だけでなく、一定の条件を満たしたパートやアルバイトも社会保険に加入しなければならないルールがあります。本記事では、パート・アルバイトの社会保険加入条件や実務上のポイントをわかりやすく整理していきます。

1. 社会保険とは何か?
社会保険とは、主に以下の制度を指します。
- 健康保険(病気やケガの治療費をカバー)
- 厚生年金保険(将来の老齢年金や障害年金を保障)
- 介護保険(40歳以上で対象)
- 雇用保険(失業時の給付や教育訓練給付)
- 労災保険(業務や通勤の災害を保障)
このうち、企業で働くパートやアルバイトに関わってくるのは、特に 健康保険 と 厚生年金 が中心です。
2. パート・アルバイトの加入条件(従来基準)
かつては「正社員の4分の3以上働いているかどうか」が基準とされてきました。具体的には、
- 週30時間以上勤務
- 1年以上の雇用見込み
この場合、パートやアルバイトでも正社員と同じように社会保険に加入しなければなりませんでした。
3. 新しい加入条件(短時間労働者の拡大)
2016年以降、段階的に社会保険の加入範囲が広がり、現在は「週20時間以上勤務」でも対象になるケースがあります。具体的な条件は以下のとおりです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上の目安)
- 雇用期間が2か月以上見込まれる
- 学生ではない
- 勤務先が社会保険適用事業所(常時101人以上の企業など)
この条件を満たす場合、パートやアルバイトでも健康保険と厚生年金に加入する義務が発生します。
4. 学生や短期アルバイトの扱い
学生アルバイトは原則として加入義務が免除されています。これは、学業を本分とするため、短期的なアルバイトにまで社会保険を適用しないという考え方です。
ただし、卒業見込みのある学生がフルタイム勤務を始める場合や、留学生で長時間働くケースは加入対象になることもあるため注意が必要です。
5. 雇用主の義務と注意点
会社は、条件を満たすパートやアルバイトを社会保険に加入させる義務があります。
- 加入させないことは「社会保険未加入問題」として行政指導の対象
- 社会保険料は労使折半(健康保険・厚生年金)
- 手取りが減るように見えても、将来の年金額や医療保障につながる
事業主にとっても、社会保険加入を怠ると 罰則や追加徴収のリスク があるため、実務上は非常に重要な管理ポイントです。
6. よくある誤解
- 「パートだから関係ない」 → 間違い。条件を満たせば必ず加入。
- 「手取りが減るから加入したくない」 → 社会保険は強制加入。本人の意思で断ることはできません。
- 「小さい会社だから対象外」 → 常時5人以上の事業所は原則対象(ただしサービス業や農林業は例外あり)。
7. 加入のメリット
パート・アルバイトが社会保険に入るメリットは意外と大きいです。
- 医療費の自己負担が3割で済む(国保より安くなる場合あり)
- 傷病手当金や出産手当金が利用できる
- 将来の年金額が増える(国民年金+厚生年金)
- 失業時に雇用保険が使える
まとめ
パートやアルバイトでも、週20時間以上勤務・月収8.8万円以上・勤務期間2か月以上などの条件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられます。
「知らなかった」では済まされず、会社にも本人にもメリットがある制度です。
働き方に応じて社会保険の仕組みを理解し、安心して働けるように備えておきましょう。
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